通信制高校は本当に「予後が悪い」のか? 現役校長が語る“通信制高校の闇”と可能性

「通信制高校って大丈夫なんですか?」近年、保護者からよく寄せられる質問です。

通信制高校に進学する子どもは年々増えています。今では高校生のおよそ10人に1人が通信制高校を選ぶ時代になりました。

かつては「特別な選択肢」というイメージがありましたが、今ではクラスに3〜4人いても不思議ではありません。

一方で、

「通信制高校は友達ができない」
「社会性が身につかない」
「将来が心配」

そんな声があるのも事実です。

私は普段、通信制高校を前向きに評価しています。もし自分が今中学生なら、通信制高校を選ぶ可能性も高いでしょう。

しかし今回はあえて、通信制高校の“闇”についてお話しします。

通信制高校のサポート校運営に関わり、多くの通信制高校生や保護者と出会ってきた立場として。そして数百人規模のオルタナティブスクールを運営する教育者として、見えてきた現実を率直にお伝えします。

星野 達郎
星野 達郎 Tatsuro Hoshino
株式会社NIJIN 代表取締役 / NIJINアカデミー 校長

全国750名以上の小中高生が学ぶオルタナティブスクール「NIJINアカデミー」の校長を務める傍ら、2つの教師団体を主宰。これまで累計1,200名以上の教員向けに研修を実施し、学校の中と外、両面から教育課題の解決に取り組む。

その独自の教育実践はNHKやテレビ朝日など多くのメディアで特集され、「青年版国民栄誉賞」「内閣総理大臣奨励賞」を受賞するなど、各方面から高く評価されている。

確かな実績と熱い教育信念を持つ一方で、普段は生徒たちから気さくにいじられる「愛されキャラ」の校長として、日々子どもたちと本音で向き合っている。

目次

結論:通信制高校の問題は“制度”ではなく“教育の質”

まず結論からお伝えします。

通信制高校の問題は、「通信制だから」ではありません。

本質的な問題は、その学校にどれだけ教育が存在しているかです。

私は教師という仕事を、子ども自身も気づいていない可能性を見つけ、挑戦導く仕事

だと考えています。

単に教材を渡す。
動画を見せる。
レポートを提出させる。

それだけでは教育とは呼べません。

子どもが自分の可能性に気づき、一歩踏み出せるようになる。

そのために必要なのが教師であり、人と人との関係性です。

問題①:教育より「コンテンツ提供」になっている

通信制高校の多くでは、

  • 映像授業
  • オンライン教材
  • レポート提出
  • スクーリング

を中心に学習が進みます。

もちろん制度上は高校教育として成立しています。

しかし私から見ると、

「教材を提供しているだけ」になっているケースも少なくありません。

どれだけ魅力的な教材があっても、子どもは一人では動けないことがあります。

挑戦したい。
でも怖い。

勉強したい。
でも始められない。

そんな時に背中を押す存在こそ教師です。

教材だけでは、人は変わりません。

問題②:教員の質に大きなばらつきがある

私は経営者として、多くの通信制高校の教員とも接してきました。

そこで感じるのは、教師として求められる力に大きな差があることです。

通信制高校では、

  • レポート管理
  • 生徒対応
  • 事務作業

が中心になる場合もあります。

そのため、

子どもの可能性を引き出す教師力」が十分に育たない環境もあります。

もちろん素晴らしい先生もたくさんいます。

ただ、学校によって教育力に大きな差があることは知っておく必要があります。

問題③:友達ができにくい

特にネットコースでは、年間を通してほとんど同級生と関わらないケースもあります。

授業を受ける。レポートを提出する。その繰り返し。

すると、

「高校3年間、ほとんど友達ができなかった」という生徒も実際にいます。

友達を作ることが目的ではありません。

しかし思春期の時期に人とのつながりを経験する機会が少なくなるのは、大きな課題だと感じています。

問題④:挑戦の機会が少ない

学校には本来、

  • 発表する
  • 誰かと協力する
  • 企画する
  • リーダーを経験する

といった挑戦の場があります。

しかし通信制高校によっては、学習管理が中心になり、それ以外の経験が不足してしまうことがあります。

挑戦は、自信を育てます。

そして自信は、次の挑戦を生みます。この循環を作れるかどうかが大切です。

問題⑤:コミュニケーション能力が育ちにくい

通信制高校の生徒はコミュニケーション能力が低い

私はそうは思いません

むしろオンライン世代は、大きな可能性を持っています。

問題は、

コミュニケーションを学ぶ機会が少ないことです。

対話する。
議論する。
協働する。

そうした経験が不足すると、本来持っている力が育ちません。

オンラインだからコミュ力が下がるのではなく、教育設計の問題なのです。

問題⑥:通信制高校の多くは「塾文化」がルーツ

現在の大手通信制高校の多くは、

  • 学習塾
  • 教材会社

をルーツに持っています。

そのため発想の中心が、「良い教材を作ること」になりやすい傾向があります。

もちろん教材は重要です。

しかし教育は教材だけでは成立しません。

教師と子どもの関係性。仲間との対話。挑戦するコミュニティ。

こうした要素も同じくらい重要です。

問題⑦:「卒業」が目的になってしまうことがある

通信制高校では、

「卒業率」が重視されることがあります。

すると、

なんとか卒業させる」ことが目的になってしまう場合があります。

しかし本来大切なのは、

卒業したかどうかではなく、卒業後に自分らしく生きられるかどうかです。

教育の目的は卒業証書ではありません。

人生を切り拓く力を育てることです。

それでも私は通信制高校を推す理由

ここまで課題をお話ししてきました。

しかし私は、通信制高校そのものを否定したいわけではありません。

むしろ可能性は非常に大きいと考えています。

全日制高校よりも、

  • 時間の自由がある
  • 自分の興味を深められる
  • 起業や創作活動に挑戦できる
  • 多様な生き方を選べる

そんな魅力があります。

だからこそ、通信制高校はもっと良くなれる。

私はそう信じています。

保護者に伝えたいこと

もし通信制高校を検討しているなら、学校名だけで選ばないでください。

見るべきなのは、

  • 教師の質
  • 生徒同士の関係性
  • 挑戦の機会
  • コミュニティの温度感

です。

同じ通信制高校でも、環境によって子どもの成長は大きく変わります。

大切なのは、「卒業できるか」ではなく、

「その子らしく成長できるか」。

通信制高校を選ぶ際は、ぜひその視点で学校を見てほしいと思います。

▶ 動画でより深く:YouTube(フル解説)

星野達郎校長が今回のテーマを動画でより詳しく解説しています。

通信制高校の課題だけでなく、これからの時代に求められる教育のあり方や、通信制高校が持つ本来の可能性についても語っています。

ぜひフルバージョンをご覧ください。

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