フリースクールでも進路は開ける？高校進学と将来の選択肢を徹底解説

フリースクールに通わせながら「高校に進学できるのだろうか」「出席扱いに影響しないだろうか」と不安を抱える保護者の方はとても多いです。

実は文部科学省は、不登校の子どもの進路が閉ざされないように制度的な支援を明確に示しています。

特に近年は学校外の学習成果を柔軟に評価する方針が強まり、フリースクールでの学びが進路の妨げになる状況ではありません。

まずは「何が可能なのか」を制度面から整理し、ご家庭の不安を解消していきます。

フリースクールに通っても進路は開けるのか？

フリースクールは学校教育法上の“学校”ではありません。

しかし、だからといって進路が制限されるわけではありません。

高校入試では「調査書（内申書）」が提出されますが、不登校であっても多くの都道府県が“欠席を理由に不利に扱わない”方針を示しています。

また、フリースクールで学んだ内容を在籍校が「学習の状況」として評価することも可能です。

高校側も多様な学びを受け入れる姿勢が広がっており、通信制高校や単位制高校を含め、選択肢は以前より明らかに増えています。

「フリースクールだから進路が不利になる」という考え方は、現在の制度とは一致しない古い情報と言えます。

出席扱い制度と学習評価の仕組み（文科省通知をもとに解説）

文部科学省は学校外での学習を出席扱いとする条件を明確に通知（文科省「不登校児童生徒への支援の在り方について」）しています。

参考：https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/04121502/002.htm

出席扱いのポイントは以下の3点です。

• 在籍校が学習計画を認める
• 目標や内容が学校の教育課程と適切に関連
• 学習状況を在籍校へ共有する

フリースクールでの学びがこれらを満たしている場合、出席扱いとなる可能性があります。

近年はICT学習を含め柔軟な判断が増え、不登校支援の指針そのものが“子どもの多様な学びを尊重する”方向へ進んでいます。

つまり、フリースクールに通う期間が長くても、高校進学で不利になるわけではありません。

在籍校との連携を丁寧に進めることで、制度的な心配は大きく軽減されます。

高校進学の選択肢は4つある｜それぞれのメリット・デメリットを整理

フリースクールに通うお子さんの進路は「全日制しかない」と思われがちですが、実際には4つの選択肢があります。

全日制・定時制・通信制・ネット型と学び方の多様化が大きく進んだことで、不登校経験のある生徒でも安心して学べる環境が整っています。

ここではそれぞれの違いを客観的に整理し、家庭が適切に選べるように比較していきます。

高校別の特徴（メリット・デメリット）

種類	メリット	デメリット
全日制	学校生活が充実し進路選択が広い	登校負荷が高く再不登校リスク
定時制	学習ペースが柔軟で復帰しやすい	部活動が少なく交友関係が限定される
通信制	不登校経験でも入りやすい。自分のペースで学べる	自己管理が必要で孤立しやすい
ネット型	在宅で学べる。発達特性に合わせやすい	実習・対面活動が不足しがち

フリースクール経験者の場合、在宅と通学を組み合わせられる通信制・ネット型を選ぶ家庭が増えています。

一方で、体調が安定していれば全日制に挑戦する選択肢も十分あります。

大切なのは「不登校だから通信制しかない」という誤った固定観念にとらわれず、本人に合った環境を再検討する姿勢です。

不登校生の進路でよくある失敗と避ける方法

不登校生の進路で多いのは「周囲の声に振り回された選択」です。

「通信制の方が楽」というイメージで決めてしまうと、本人の性格と合わず再びつまずくケースが見られます。

また「内申が足りないから全日制は無理」という思い込みもよくありますが、多くの高校が面接や作文を重視しており、内申割合を限定的にしている学校もあります。

保護者が避けたいのは“短期的な安心で選択してしまうこと”です。

本人の生活ペース、学び方の好み、将来の方向性を丁寧に言語化し、学校説明会や個別相談で情報を得ることが最も確実な方法です。

フリースクール職員やスクールカウンセラーとの連携も進路のミスマッチを防ぐ大きな助けになります。

フリースクール選びで後悔しないために｜進路保障のある施設の見極め方

フリースクールは全国に多様な形で存在するため、保護者としては「どこを選べば将来につながるのか」という不安が残ります。

大切なのは“居場所としての安心”だけでなく“進路保障のある環境”を選ぶことです。

ここでは、後悔しないために必ず確認しておきたい基準と、家庭が進路準備でできるサポートを詳しく解説します。

進路実績・在籍校との連携・支援体制の基準

フリースクール選びで最も大切なのは「進路保障があるか」です。

まず確認したいのは ①進路実績 です。

通信制高校や全日制への進学数、大学進学者の割合など、具体的に示している施設は信頼度が高いと言えます。

次に ②在籍校との連携の有無。

出席扱い申請や学習状況の共有をどこまでサポートしてくれるかが、進路の広がりに直結します。

また ③支援体制 として、カウンセリングや学習指導の専門性、保護者面談の頻度も重要です。

職員の経験や資格、外部機関との協働など、判断材料になる要素は多くあります。

さらに、子どもの個性を理解し、計画的に学習を積み上げられる環境かも確認したいポイントです。

単なる“居場所”ではなく“未来につながる学び場”を選ぶことで、進路の選択肢は大きく広がります。

家庭ができる進路準備｜不安を軽減する関わり方

家庭でできる最も大切な支援は「進路の決断を急がせない」ことです。

不登校経験がある子どもは判断に強い不安を抱えがちで、早期に結論を迫られるほどストレスが高まります。

まずは日常生活のリズムを少しずつ整え、自信を回復するステップが重要です。

そのうえで説明会やオープンキャンパスに親子で参加し、“選択肢を見る機会”を増やすことが役立ちます。

また、進路を話すときは「どの学校に行くか」より「どういう環境なら安心して学べるか」を軸に会話するのが効果的です。

本人が安心して話せる状態をつくり、保護者が“伴走者”として支える姿勢が、進路選択の質を高めます。

焦らず時間をかけることが、結果として最適な選択につながります。