授業で困っている先生にぜひ読んでほしい、授業力を伸ばすなら授業てらすのフォーマンセルが一番な理由

NIJINボランティアライターのグッチです。今回お話を伺ったのは、NIJINの事業のひとつ「授業てらす」でチーム算数のリーダーを務める松浦悟史さん(サトシ先生)。現役の教員として忙しい日々を送りながらも、全国の先生たちとともに「授業てらす」で活動を続ける理由をお聞きしました。

目次

「何か物足りない」から授業てらすへ

──本日はよろしくお願いいたします。まずは、簡単に自己紹介をお願いします。

宮崎県で小学校の教員をしている松浦悟史です。教員歴は22年ほどになりますが、主に算数の授業研究をやってきました。現在は指導教諭という立場で、学校内の先生だけでなく、学校外の先生に対しても授業を公開しています。

──担任を持ちながら指導教諭となると、なかなか大変そうな印象ですが?

私の授業を見に来てくれる先生もいますし、私が他の学校へ研修に行ったり、飛び込みで授業をしたりすることもあるので、私の感覚としては面白い経験をさせてもらっているなぁと思っています。

──お聞きしている感じでは、教員として充実した生活を送っているように見えますが、サトシさんが授業てらすで活動するきっかけは何だったのでしょう?

私はもともと附属小学校で勤務していたのですが、そこから公立の小学校へ異動して半年ほど経ったときに、自分から学べていないなぁと思い始めたんですね。このままでは自分は使い物にならなくなる、時代に置いて行かれるという不安が何となくあった状態でした。

もちろん今まで通り、本を読むなどの学びは続けていたのですが、一方で何か物足りなさも感じていました。そんなときに、Instagramで授業てらすの「磨け、授業力。」を見つけて、こんな面白いことをやっている団体があるんだと思い、気づけば数分くらいで入会のボタンをポチっと押していました(笑)

──ものすごく早い決断ですね。自分から新しいことを学びたいという気持ちに飢えていた感じですか?

今ここで参加しないと絶対に後悔するなという気持ちでしたね。そこから1か月も経たないうちに、様々なセミナーに参加していく中で、一緒に算数を盛り上げていきませんかという声をかけてもらって、そこから算数チームに入ることになりました。 その後、「磨け、授業力。」などの運営に携わっていく中で、今はチーム算数のリーダーとして頑張っています。

──「磨け、授業力。」など、授業てらすが行っているイベントは、現役の先生から見ても魅力的なものなのでしょうか?

一番は、自分が知っている有名なプロ講師の方がいたことですね。この先生のセミナーにオンラインで参加できるんだというのが参加の決め手でした。私が授業てらすに入ったときは、ちょうどZoomが出始めた頃で、最初は一人で静かに学べたらいいなと思っていたのですが、いつの間にかのめりこんでしまって、今ではチーム算数のリーダーをしています(笑)

子ども主体の授業への転換

──サトシさんは授業てらすの動画の中でも、よく「脱・教師主導」という言葉を使っておられますが、これは具体的にどういうことですか?

算数の授業は教えることがはっきりしていて、スタンダードな形に縛られる先生も多く、どうしても教師主導になりがちな教科だと思うんです。こういった教師主導の授業では、子どもたちが心の底から授業を「愉しむ」ことができません。そのために、「教える」から「引き出す」という授業の転換をはかり、「子ども主体」の授業に変えていく必要があると思っています。

──たしかに理科や社会の授業と比べて、算数は特に子ども主体の授業が難しい印象があります。

私は先生方に、一度自分の授業を「脱・教師主導」という視点で振り返ってほしいと言っています。これを手放せば、もっと子どもたちが愉しめるんじゃないか。そう思ったとき、それが「脱・教師主導」への一歩になります。算数では教えるべきことは教師主導で教えるべきだと思っていますので、すべてにおいて「脱・教師主導」を求めているわけではありません。

何でもかんでも「脱・教師主導」が良いというわけではなくて、自分の姿を見直すという部分で、「脱・教師主導」という視点で授業を振り返ってほしいと思っています。

──熱心な先生が多いという側面もあるでしょうが、教師が説明するだけの一方的な授業もまだまだ残っていますよね。

私はそこに気づくのに10年ほどかかりました。自分の授業がいかに教師主導で、子どもの笑顔を奪っていたのか。そこにもっと早く気づいていたらよかったと思い、若い先生にはどんどん伝えるようにしています。

教師の授業力を高めるフォーマンセル

──では次に、授業てらすの各教科チームが取り組んでいる「フォーマンセル」について教えていただけますか。

授業てらすのフォーマンセルは、4人1組で授業を磨き合う授業伴走プログラムです。教科リーダーが2か月間、「授業をもっと良くしたい」と思う先生の授業を見て、フィードバックをします。

都道府県の研修会だと、画一的な授業の一般論を聞いて終わりということが多いですよね。しかし、授業てらすのフォーマンセルは、参加した先生の授業を見て直接フィードバックをするという形式なので、必ず参加者主体になります。先生の授業力を高めるメソッドがすべて詰まっているのが、授業てらすのフォーマンセルだと思っています。

──各学校でも研究授業がおこなわれていると思いますが、そちらはどうでしょう?

学校の研究授業もまだまだ課題が多い印象です。多くの先生は最初、頑張っていろいろと工夫して臨むんですが、本当に大切なのはその後の授業ですよね。研究授業を経て、自分の授業をどう改善していくのかが大切なのに、その機会がきちんと設けられていないので、結局は元の授業に戻ってしまうんです。

授業てらすのフォーマンセルでは、公開した授業へのフィードバックはもちろん、次の授業への改善アドバイスもします。そして、その後の授業の変容にも授業てらすのチームメンバーが2か月間しっかりと伴走するので、必ず授業力を高めることができると思います。

──たしかに研究授業は授業を見せて終わりっていうことが多いですよね。サトシさんはフォーマンセルでどのようなアドバイスをされるのですか?

人によって課題は様々ではあるんですが、私は教材研究の方法より、教師の振る舞いや子供同士の関わり、教師の発問を中心に授業を観察して、アドバイスをしています。授業で困っている先生の多くは、教師の都合で授業を先に進めようとして、子どもの声を正しく聞けていないことが多いです。

──フォーマンセルを通して、授業が大きく変わった先生はいますか?

11月3日のフォーマンセル報告会で、授業の変容を語ってくれた「なお先生」はその一人ですね。彼にはフォーマンセルの前から、チーム算数の中で授業改善のためのアドバイスをしていました。

なお先生の授業を初めて見たとき、彼自身がすでにヒントカードを準備していました。授業が分からなくても、待っていれば先生がヒントカードをくれるのだろうな、という雰囲気を感じました。私は「待つ子ども」を育ててほしくないと思い、子どもが自ら「分からない」と言えるようにならないとダメだよね、と彼にアドバイスをしました。

※以下の画像は、フォーマンセル報告会における、なお先生の発表スライドです

子どもだけでなく、先生もHAPPYにしたい

──最後に、サトシさんの今後の目標などありましたら教えてください。

私も教職をあと何年やれるのか分かりませんが、授業てらすのフォーマンセルを通して1人でも多くの先生をHAPPYにしたいなと思っています。また、授業てらすのノウハウを活かして、校内の先生や県内の先生もHAPPYにできたらと思っております。

いま学校が面白くないなと感じている先生には、授業てらすを「第二の職員室」と思って気軽に来てもらえたらと思います。毎日苦しくてガス欠を起こしそうなときでも、授業てらすに来てもらえれば、我々が元気よくガソリンを入れてあげられると思います!

全国には、まだまだ授業に悩んでいる先生がいる。そうした先生方を助けることで、「自分は誰かの役に立てている」という喜びを感じているのだと、サトシさんのお話から伝わってきました。
教員としてのお仕事に加え、授業てらすでの活動にも日々忙しくされているサトシさんですが、今回のインタビュー中は疲れも一切見せず、終始優しく、そして面白くお話してくださいました。
一人の教員が直接救える子どもの数は、せいぜい自分のクラスに限られます。だからこそ、全国の子どもたちを支えるためには、まず教育に携わる教員を救うことが必要なのだ——サトシさんのお話を伺いながら、そのことを強く実感しました。
フォーマンセルをはじめ、さまざまなイベントやセミナーを通して全国の教室をHAPPYにしようと取り組む授業てらすの活動によって、これからも多くの子どもたちの笑顔が広がっていくことを期待しています。本日はありがとうございました!

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