小学校の子どもが行き渋りをするのはなぜ? 理由と適切な対応・連絡帳の書き方を解説

 朝、玄関で動けなくなる子どもを前にして、親の焦りは頂点に達します。しかし、結論から言えば、無理やり連れて行くことは根本解決になりません。子どもの心が限界を超えている場合、強引な登校は深い心の傷を残します。

 まずは現状を正しく把握し、親が冷静な判断基準を持つことが重要です。

目次

2. 小学校の行き渋り(登校しぶり)無理やり行かせるのは逆効果?

 行き渋りが始まった際、多くの親御さんが「一度休ませると癖になる」という不安に駆られます。しかし、近年の教育心理学では、初期段階での適切な休養が早期回復を助けると考えられています。無理に登校させることは、子どもが発している防衛反応を無視する行為に他なりません。

 親が「学校へ行くこと」だけを正解とすると、子どもは逃げ場を失い、さらに深く心を閉ざします。

3. 無理強いが招く「二次障害」と不登校の長期化

 行き渋る子どもを力ずくで登校させると、深刻な二次障害のリスクが高まります。学校を「恐怖の場所」と認識し、パニック障害やうつ症状を呈する場合もあります。親への不信感が募り、家庭内での対話が途絶えることも珍しくありません。一度心が折れてしまうと、再登校までにかえって数年単位の時間を要します。文部科学省の「不登校児童生徒への支援の在り方について」でも、本人の状況に応じた支援が強調されています。無理をさせるメリットとデメリットを比較し、長期的な視点を持つべきです。

項目無理に登校させた場合のリスク本人の意思を尊重して休ませた場合
心の状態強い恐怖心や親への不信感安心感による自己肯定感の維持
身体症状腹痛・頭痛などの慢性化休息による自律神経の安定
家族関係対立が激化し、会話が消失信頼関係が深まり、相談しやすくなる
将来への影響長期的な不登校へつながる恐れ心のエネルギーを溜め、再登校へ備える

4. 「甘え」ではなく「SOS」として捉える重要性

 多くの場合、行き渋りは子どもが自分を守るために必死に出しているサインです。「みんな頑張っているのに」という比較は、子どもをさらに追い詰めます。特に小学校低学年は、自分の苦しさを言葉で説明する語彙力が足りません。そのため、「お腹が痛い」「体が動かない」といった身体症状で訴えます。これは「怠け」ではなく、脳が限界を感じて発している防衛反応なのです。親がこれを「甘え」と切り捨てず、命を守るSOSだと認識を改めることが不可欠です。家庭を唯一の「安全基地」にすることが、回復への第一歩となります。

5. 【判断基準】休ませる?頑張らせる?迷った時のチェックリスト

 朝の数分間で休ませるか決めるのは、親にとって非常にストレスフルな作業です。感情に流されず、客観的な指標に基づいて判断するためのリストを活用しましょう。以下の状態が一つでも当てはまる場合は、勇気を持って休養を選択してください。身体的な反応は、言葉以上に本人の限界を正確に示しています。

チェック項目具体的な状態の詳細判断の目安
身体症状吐き気、腹痛、微熱、激しい頭痛身体が拒否反応を示しているため休息
睡眠と食事寝つきが悪い、悪夢を見る、食欲が極端に落ちる自律神経が乱れているサイン
表情・言動目が合わない、無表情、死にたい等の過激な発言心のエネルギーが枯渇している危険な状態
登校前後の変化前夜から泣き続ける、玄関先で硬直して動けない無理に行かせる段階ではない

6. 小学校で行き渋り・登校しぶりをするのはなぜ?主な原因と背景

 行き渋りの理由は一つではなく、複数の要因が複雑に絡み合っています。学年によって悩みの質が異なるため、年齢に応じた視点を持つことが大切です。親が原因を決めつけるのではなく、多角的に背景を推察する姿勢を求められます。本人の心の声を聴くためには、まず大人が「なぜ?」という背景を理解しておく必要があります。

7. 低学年(1年生・2年生・3年生)に多い原因

 小学校低学年の場合、生活環境の劇的な変化が最大のストレス要因となります。幼稚園や保育園のような「遊び」中心から、「学習」中心への移行は困難を伴います。特に1年生は、45分間椅子に座り続けること自体が大きな負担です。また、母子分離不安が強く残り、親から離れることに恐怖を抱く子もいます。給食が食べられない、トイレに行きにくいといった些細な事柄も原因になります。この時期は「学校のルール」に馴染めない不安を解消してあげることが先決です。家庭内での会話を通じて、何がハードルになっているかを探る根気が必要になります。

8. 高学年(4年生・5年生・6年生)に多い原因

 高学年になると、原因は「学習面」から「対人関係」へとシフトしていきます。友人グループ内の力関係や、SNSを通じた複雑なコミュニケーションが影響します。思春期の入り口に立ち、教師の指導に対しても批判的な視点を持つ時期です。授業内容が難化し、テストの点数で自己肯定感を損なうケースも増えてきます。周りの目を過剰に気にし、「失敗したくない」という完璧主義が足を引っ張ります。心の成長に伴い、自分自身のアイデンティティに悩む姿も多く見られます。親は答えを急かさず、横に寄り添う姿勢が求められます。

9. 夏休み明け・連休明けなど「休み明け」に起きやすい理由

 長期休暇明けは、学校生活での緊張感がリセットされた直後のため注意が必要です。休日に自分らしく過ごした分、学校での「仮面」を被ることに抵抗を感じます。特に夏休みは期間が長く、昼夜逆転などで生活リズムが崩れやすい時期です。「またあの日々が始まるのか」という絶望感が、登校を拒む要因となります。休み明けの登校は、大人にとっての仕事復帰以上に、子どもには高い壁となります。事前の無理な登校刺激を避け、緩やかに日常へ戻す配慮が必要です。まずは一週間、登校できれば合格点という余裕を持ちましょう。

10. 背景に隠れている特性(発達障害・HSCなど)との関連性

 行き渋りの背景には、生まれ持った気質や発達の特性が関係していることもあります。例えば、HSC(ひといちばい敏感な子)は教室の騒音や光に疲れ果ててしまいます。また、ASD(自閉スペクトラム症)の子は、時間割の変更などの「予測不能」を嫌います。ADHD(注意欠如・多動症)の子は、衝動性を抑え続けることにエネルギーを使い切ります。これらの特性を持つ子にとって、学校は常に「過覚醒」を強いられる過酷な環境です。診断の有無に関わらず、本人の苦痛を環境調整で軽減する視点が欠かせません。学校側の理解を得るための話し合いが不可欠となります。

11. 行き渋る子どもへの「正しい対応」と「避けるべきNG行動」

 行き渋りへの対応において、親が「何をするか」以上に「何をしないか」が重要です。良かれと思った声かけが、時として子どもを深く傷つけ、心を閉ざさせます。親がまず落ち着き、どっしりと構えることが子どもに安心感を与えます。大人の焦りを子どもにぶつけない仕組み作りを考えましょう。

12. 〇:まずは「行きたくない」という気持ちを丸ごと受け止める

 最も効果的なのは、子どもの感情を否定せずにそのまま鏡のように返すことです。「そうか、学校に行きたくないんだね」という言葉は、子どもを安心させます。理由を話してくれないとしても、その「言いたくない気持ち」さえ受け入れてください。親に分かってもらえたという実感が、子どもの心のエネルギーを充填します。解決策を提示するのは後回しにし、まずは徹底して聞き役に回ることが正解です。この受容のプロセスを飛ばすと、子どもは孤独感を深めてしまいます。信頼関係を再構築することが、将来的な再登校への最短距離となります。

13. 〇:スモールステップ(遅刻登校・別室登校)の活用

 学校への復帰を急ぐ必要はありませんが、繋がりを維持する方法は模索しましょう。1時間目だけ出席する、あるいは給食だけ食べに行くといった選択肢も有効です。教室に入るのが難しいなら、保健室や相談室での別室登校を検討してください。「玄関まで行く」という小さな成功体験を積み重ねることが自信に繋がります。ただし、これらはすべて「本人が納得していること」が大前提となります。本人の意向を無視したステップの設定は、かえって負担を強いることになります。学校と相談し、本人が最も安心できる登校形態を探ることが肝要です。

14. ×:理由を問い詰める・根性論で励ます・ご褒美で釣る

 「なぜ行けないの?」という問いかけは、子どもにとって最も苦しい質問です。理由が言語化できていれば、子どもは既に何らかの解決を試みているはずです。また、「頑張れば行ける」といった励ましは、既に頑張り抜いた子を絶望させます。ゲームや玩具などのご褒美で釣る方法は、一時的には機能しても長続きしません。それどころか、「報酬がないと動けない」という依存状態を生むリスクがあります。原因探しを止め、現在のありのままの状態を許容することから始めてください。負のループを断ち切るには、親の価値観を一度リセットする必要があります。

15. 親が「仕事に行けない」と焦った時のマインドセット

 保護者にとって最大の悩みは、仕事との両立であり、自身の生活への不安です。「自分が会社を休むわけにはいかない」という焦りは、子どもに敏感に伝わります。まずは職場の信頼できる上司や同僚に、正直に状況を話して理解を求めましょう。有給休暇の活用やリモートワークへの切り替えなど、柔軟な働き方を検討してください。親が自分を犠牲にしすぎると、心に余裕がなくなり子どもを攻撃してしまいます。「仕事も大事だが、今は家族の非常事態である」と割り切る勇気が必要です。親自身のケアも、立派な支援の一部だと認識してください。

16. 学校への連絡はどうする?連絡帳の書き方と相談のコツ

 学校との連携は、行き渋り解決のための強力な武器になります。担任を「敵」や「監視役」ではなく、共に子どもを支える「パートナー」にしましょう。丁寧かつ具体的な情報共有が、学校側での適切な配慮を引き出します。情報の透明性を高めることで、誤解によるトラブルを防げます。

17. 【例文あり】連絡帳で「行き渋り」を伝える時の文面

 連絡帳には、現在の状況をありのままに、かつ感情的にならずに記載しましょう。嘘の理由を書くと、後で整合性が取れなくなり、子どもにさらなる嘘を強いることになります。事実を伝えつつ、学校側の協力を仰ぐ姿勢を見せることがポイントです。テンプレートを参考にしながら、ご家庭の状況に合わせて調整してください。言葉選び一つで、担任との協力体制は劇的に変わります。

対象文面のテンプレート例意識すべきポイント
低学年向け「朝から登校に不安を感じて泣いており、本日は家庭で様子を見ます。最近、学校での様子に変化はありましたでしょうか。」家での様子を具体的に伝え、学校での情報を求める
高学年向け「本人の登校への意欲が著しく低下しているため、相談の上欠席させます。後ほど改めてお電話にてご相談させてください。」本人の意思を尊重した結果であることを明記する
再登校時「本日は2時間目から登校予定です。保健室利用の可能性も含め、見守りをお願いできますでしょうか。」登校のハードルを下げる具体的な依頼を行う

18. 電話連絡をするタイミングと担任への相談内容

 電話で詳しく相談したい場合は、放課後の16時以降を目安にしてください。朝の忙しい時間は欠席の事実のみを伝え、深い相談は落ち着いた時間に行います。担任には、家庭での具体的な変化や、子どもが発した学校への不安を共有しましょう。一方的に要望を押し付けるのではなく、「どうすれば協力し合えるか」を話し合います。担任が頼りないと感じる場合は、学年主任や教頭などの管理職を交えるのも手です。冷静に、かつ毅然とした態度で子どもの権利と安全を主張してください。対話の記録を残しておくことも大切です。

19. スクールカウンセラーや専門機関(小児科・教育相談)への相談

 担任以外の専門家を味方につけることは、親の精神的な支えにもなります。スクールカウンセラーは、学校内部の事情に精通しており、環境調整の助言をくれます。また、身体症状が強い場合は、小児科や児童精神科の受診を迷わず検討しましょう。医学的な見地からの診断やアドバイスは、学校への配慮依頼の根拠となります。自治体の教育相談センターや適応指導教室などの外部機関も、貴重な情報源です。一人で抱え込まず、支援のネットワークを広げることが、早期解決の鍵を握ります。複数の窓口を持つことで、多角的な解決策が見えてきます。

20. 行き渋りはいつまで続く?回復までのロードマップ

 「いつになったら元通りになるのか」という不安は、親を最も疲弊させます。しかし、回復は一直線ではなく、三歩進んで二歩下がるような波があります。長期戦を覚悟しつつも、小さな変化を見逃さない観察眼を持ちましょう。焦燥感は回復を阻害する最大の要因であることを忘れないでください。

21. 「学校に行けた・行けない」で一喜一憂しない

 登校できた日は喜び、休んだ日は落ち込むという態度は、子どもに重圧を与えます。子どもは親の顔色を伺い、「学校に行けない自分はダメだ」と自分を責め始めます。登校の有無を「成功・失敗」の指標にするのは、今日から止めてください。大切なのは、学校に行っても行かなくても、子どもの存在価値は変わらないことです。家庭内で穏やかに過ごせているなら、それは着実に回復に向かっている証拠です。「今日はゆっくりできたね」と、休息そのものを肯定してあげましょう。親の心の安定が、子どもの一番の薬になります。

22. 家庭を「安全基地」にするための環境づくり

 家庭が安心できる場所であれば、子どもは自ずと自浄作用を発揮して回復します。学校の話を一切出さない時間を作り、好きな遊びや趣味に没頭させてください。美味しい食事や十分な睡眠など、基本的な生活の質を整えることに注力します。親が笑顔で過ごし、家の中の空気を明るく保つことが何よりの薬となります。過度な期待や将来への不安を子どもにぶつけないよう、親自身も息抜きをしてください。エネルギーが溜まれば、子どもは自ら外の世界へ目を向け始めます。無理な刺激を避け、時を待つ強さを持ちましょう。

23. 再登校への意欲が湧いてくるサインの見極め方

 心のエネルギーが充填されてくると、少しずつ「動き出したい」サインが現れます。学校の話題を自分から口にする、宿題を気にし始めるなどの行動はその典型です。また、友達の様子を気にかけたり、外出への意欲が高まったりするのも良い兆候です。これらの変化が見られた時も、親は決して急かしてはいけません。「明日から毎日行こう」などとハードルを上げず、見守る姿勢を貫きましょう。本人が「行ってみようかな」と言い出すのを待つのが、最も確実な再開方法です。焦って背中を押しすぎると、再び振り出しに戻る恐れがあります。

24. まとめ:焦らず子どものペースに寄り添うことが最短ルート

 行き渋りは、お子さんが自分自身と向き合い、逞しく成長するための試練です。この期間を単なる「停滞」ではなく、親子関係を深める「熟成期間」だと捉えてください。親が焦りを手放し、お子さんの全存在を受け入れたとき、状況は少しずつ動き出します。親子の絆を再確認するための大切な時間として向き合いましょう。

 最後に、保護者の皆さんに伝えたいのは「あなたは決して一人ではない」ということです。多くの家庭が同じ悩みを通っており、克服の道は必ず存在します。自分自身を責めるのを止め、今日はお子さんと一緒にゆっくり休んでください。その休息こそが、未来へ踏み出すための最強のエネルギー源になるはずです。各自治体の「教育相談窓口」も、あなたの助けになるでしょう。一歩ずつ、お子さんの手を握って歩んでいきましょう。

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