不登校の小学生がニジアカで出会ったもの~環境が変われば、自分も変わる~

こんにちは。ボランティアスタッフのみっちーです。
今回は、現在小学6年生のたいぽん君のインタビューをお届けします。
学校と違って100倍楽しいよ
そう話すたいぽん君は、小学5年生の11月にニジアカへ入学しました。現在はクラス会議で自ら料理企画を立案し、Canvaで料理の工程表やスライドを作成。さらに、企業とのコラボレーション企画にも挑戦中です。
クラスのみんなのために声をかけ続けた日々が、次第に心の負担になってしまったたいぽん君。
この記事では、ニジアカで新しい仲間と出会い、自分の力を発揮していく姿をご紹介します。

目次

クラスのために声をかけ続けた日々

たいぽん君は、小学4年生までは毎日学校に通っていました。勉強で困ることはなく、友だちとの関係にも恵まれていた様子。4年生の終わりには生徒会の役員に自ら立候補し、5年生から正式に活動することが決まっていました。

先生からも、「クラスの代表、学年の代表として活動していきましょう」と声をかけられていました。そういったこともあり、たいぽん君は、4年生のクラスからみんなのまとめ役である生徒会の役割を意識して「みんな静かにしよう」「集中しよう」と責任を持ってみんなに呼びかけていたそうです。

しかし5年生に上がると、クラス替えで環境に変化がありました。友だち関係を聞くと、たいぽん君は「ぼちぼち」と答えてくれました。仲の良かった子と離れた影響もあったようです。そのような中でも生徒会の役割として、たいぽん君は積極的にクラスへ声をかけ続けていました。しかし状況は変わりませんでした。

「注意しても次の日とかになると全然またうるさくなって、それを多分もう2ヶ月ぐらい続けてきて、さすがに限界になった」

とたいぽん君は話してくれました。

4年生のクラスでは、声をかけるとみんなが「今は静かにしよう」と協力してくれていました。しかし5年生のクラスでは、どれだけ声をかけても届かなかったということです。お母さんは当時の様子を、こうふり返ります。

「『僕が注意しても誰も聞いてくれないや』とか、みんなが敵に見えちゃうみたいな。そういった葛藤があって、教室に向かうこと自体にもストレスを感じるようになってしまった」

そうした状況が重なり、5年生の5月下旬から徐々に学校へ行けなくなっていきました。6月以降は完全に行けない状態に。声をかけ続けても届かなかった2ヶ月間が、たいぽん君の心を少しずつ消耗させていきました。

ニジアカとの出会い

学校に行けなくなってからも、たいぽん君は別の形で学校とつながっていました。9月からは、保健室に登校して給食を食べ、お母さんが迎えに来て帰る日々。そして学年室と呼ばれている教室を用意してもらい、その教室でプリントやドリルに取り組む生活へと変わりました。

そのような生活の中でニジアカを知ったのは、学校のスクールソーシャルワーカーからの紹介がきっかけでした。お母さんはホームページを見て、「うちの子に合いそうだな」と感じたといいます。さらに、NIJINアカデミーのタツロー校長のYouTubeにも強く引き込まれていきました。EDIX(エディックス)への登壇動画や企業コンペの動画など、複数の動画を視聴するなかで、お母さんの確信は深まっていったそうです。

「タツロー校長の話されてる言葉にすごい説得力があって、すごく情熱をもってニジアカをやってらっしゃるんだなっていうことが伝わってきた」

不登校が社会的な問題となっている中で、さまざまなことに挑戦しているニジアカの姿勢に感銘を受け、お母さんはすぐに体験会を申し込みました。体験会では、メタバースの中でアイコンを動かしたり、ニジアカの先生たちとじゃんけんをしたりする体験がありました。

たいぽん君も実際に体験することで、「行ってみたい」と思えたそうです。タツロー校長のYouTubeで話す言葉と体験会が結びついて、ほぼ即決で入学を決めました。小学5年生の11月のことでした。

ニジアカに通い始めてからも、週に2日は学年室に登校して給食を食べて下校する生活を並行していました。このスタイルが、昨年5年生の11月から今年の3月まで続きました。

「めっちゃ楽しい」が待っていた

ニジアカに入ってどうだったかをたいぽん君に聞くと、まっすぐな答えが返ってきました。

めっちゃ楽しい

何が楽しいのか尋ねると、「クラス会議とか朝学習とか朝体育が楽しかった」と教えてくれました。なかでもクラス会議は、自分で企画を立てて実行できる機会があります。「企画とかをやるのが楽しかったり、料理とかやって楽しかった」と言葉を弾ませながら話してくれました。

▲朝から元気いっぱい!たいぽん体育

▲クラスメイトの合格祈願のために、
クラスのみんなで校舎を神社にしちゃおう大作戦

▲卒業生のありがとうの会

▲昨年度の最後のクラス会議の様子

新しい友だちとの出会い

ニジアカで出会った友だちは、たいぽん君の日々に大きな変化をもたらしました。

「気が合う子が少なかったけど、ニジアカに入ったら気が合う子がいっぱい出てきたから楽しかった」

今では、ニジアカで友だちになった子とSlackで「今日何時からゲームできる?」とやりとりし、一緒にオンラインで遊んでいるそうです。ニジアカの仲間と過ごす時間が、たいぽん君の毎日を明るくしています。

自分の企画で「みんなの健康」をつくる

たいぽん君が夢中になった代表的な活動が、クラス会議での料理企画です。

料理を始めたきっかけを、たいぽん君はこう話してくれました。

「朝ごはんとかにお母さんが作ってくれるから、作ってみたいなと思って。調べたりして、お母さんがいつも使ってる調味料とかを使って何グラムだよとか教えてくれて、ひっくり返したりとか自分でやって作りました」

自宅でだし巻き卵や油淋鶏(ユーリンチー)を何度も練習し、調味料の分量を自分で調整しました。さらにCanvaで料理の工程表やスライドを作成。クラス会議でみんなと画面を共有しながら、オンラインで一緒に調理実習を行ったそうです。たいぽん君自身が企画し、準備から当日の進行まで担う——まさに「自分の企画」です。

この料理企画がきっかけとなり、現在は企業とのコラボレーションにも挑戦中。テーマは「子どもでも火を使わずに安全に作れる、栄養バランスの良いごはん」です。不登校の子どもたちは学校の給食を食べる機会がなく、家でのお昼ごはんに困るケースも少なくありません。

「仕事をしているとなかなか子供のお昼を毎日準備するのが結構できないこともあって。お昼ご飯も食べない子もいらっしゃるし。レトルトとか子どもでも簡単に作れるものを食べる子も多いと思うんですね」とお母さんは話してくれました。たいぽん君のご家族の体験から生まれた企画だからこそ、テーマに実感がこもっています。

「(担任の)にけ先生から『企業コラボしてみませんか?』とお声がけいただいて。私とたいぽんとにけ先生の本当に三人四脚で頑張ってます」

お母さんはそう話してくれました。メッセージと企画書は、3人で一緒に考えました。その後は、ニジアカの先生たちが150以上の企業や農家、料理研究家の方に連絡してくださったそうです。そのうちの10回の面談では、たいぽん君自らプレゼンしたといいます。

▲企画書のイメージ図

▲給食に負けない栄養満点ご飯を
たいぽん君自ら企業プレゼン

▲たいぽん君が自ら考案
Canvaで作成したお料理企画
『火を使わず油淋鶏(ユーリンチー)を作ろう!』
の工程表

▲火を使わずに作った
油淋鶏(ユーリンチー)の完成

▲たいぽん君の初めての料理企画
「プルプル卵焼き」

▲調味料の分量を自分で調整して仕上げた
たいぽん君特製のだし巻き卵

学校では学べないことがニジアカにある

ニジアカでのたいぽん君の姿を見守るなかで、お母さん自身にも大きな気づきがあったといいます。

「ニジアカに通ったことで、学校では学べないことってたくさんあるんだな、っていうことにまず親自身が気づけた」

自分で社会に課題を見つけ、それを解決するために動く力。お母さんは、ニジアカでの取り組みがその練習になっていると感じています。

「子供のうちにたくさん経験をさせて、失敗して得られるものってとても大きい。学校では学べないことを本当にニジアカで学ばせてもらってる」と言葉を重ねます。

たいぽん君自身も、ニジアカに通うことで「気持ちが楽になった」と打ち明けてくれました。心のエネルギーが充電されて、今では自分の「やりたい」に向かう気力が自然と湧き出しています。

▲大好きな『鬼滅の刃』の刀を自ら手作りした
たいぽん君のコレクション

▲『刀鍛冶のたいぽん君』として活動していた
たいぽん君が細部にまでこだわって仕上げた
『鬼滅の刃』の武器の一つ

これからのこと

6年生となってからは、学校中心の生活に移行する予定だそうです。今年の4月中はニジアカにも所属しつつ、その後はニジアカのプロジェクト塾(PJ塾)へ移り、学校での学びとニジアカでの活動を両立していく方針だと話してくれました。

最後に、ニジアカへ入学することを考えている子どもたちへのメッセージを聞くと、すぐにこう答えてくれました。

学校と違って100倍楽しいよ

力強い言葉が返ってきました。たいぽん君の今が、そのままこの一言に凝縮されています。

おわりに

クラスのために働きかけ続けたことで、気づかないうちに心が疲れてしまったたいぽん君。そんなたいぽん君は、ニジアカで自分の力を発揮できる機会に出会いました。やってみたい気持ちが生まれ、今では料理企画や企業コラボという新しい挑戦に踏み出しています。たった一つの環境だけが全てではない——たいぽん君の歩みは、別の場所に身を置いてみることで、気持ちも、できることも、ぐんと広がっていくことを教えてくれます。これからもたいぽん君が自分の可能性を広げていく姿を、私たちはずっと応援しています。

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