不登校の中学生はテストを受けないとどうなる?卒業・内申・高校受験への影響と親が今できること

不登校の子どもが高校受験に向けて進路の選択に迷う。

「中学で不登校。定期テストを受けていないけれど、このままで大丈夫なのだろうか」

進路が見え始める中学生の時期に、テストを受けていない状態が続くと、保護者の不安は一気に大きくなります。

・卒業できるのか
・内申はどうなるのか
・高校受験は不利にならないのか


結論を急ぎたくなりますが、まず必要なのは「制度を正しく知ること」です。
感情ではなく仕組みを理解することで、判断は落ち着いてできるようになります。
この記事では、中学の卒業条件、内申点の仕組み、高校受験への影響、テストを受ける・受けない判断基準、保護者ができる具体的対応を整理して解説します。

目次

中学生が不登校でテストを受けていないと卒業できないのか

「テストを受けていない=卒業できないのでは」と不安になる保護者は少なくありません。しかし、まず押さえておきたいのは、定期テストは卒業条件そのものではないという事実です。

中学校の卒業条件は何で決まるのか

不登校でテストを受けていないとき、保護者の不安は一気に増えます。卒業できるのか。内申はどうなるのか。高校受験は可能なのか。このまま将来に影響するのではないか。

ただ、これらは同じ問題ではありません。「卒業」「内申」「受験」は、それぞれ別の仕組みで動きます。まずは卒業の仕組みから切り分けて確認します。

中学校卒業は、校長による「修了認定」で決まります。根拠は学校教育法施行規則です。学年の課程を修了したと認められれば卒業です。

定期テストの受験は、法律上の必須条件ではありません。
テストは評価材料の一つに過ぎません。
学習状況や在籍期間などを総合的に判断します。

文部科学省は、不登校を理由に機械的な不利益扱いをしないと示しています。
参考:https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/06112210.htm

ここまでで分かるのは、テスト未受験だけで卒業不可とは決まらないという点です。

次に気になるのは、
「出席が少なくても修了と判断されるのか」という点でしょう。
そこで、出席日数と卒業の関係を整理します。

出席日数が少ないと卒業できないのか

出席日数は調査書に記載されます。そのため、不安になる保護者は少なくありません。しかし、不登校は原則として「怠け」とは扱われません。医療的理由や心理的要因は、学校側も考慮します。

文部科学省は、不登校児童生徒への配慮を求めています。出席という形だけで機械的に判断しない姿勢が示されています。また、出席は「教室にいること」だけを意味しません。

別室登校。
保健室登校。
教育支援センター通所。
家庭学習記録の提出。
オンライン課題の提出。

これらが評価材料になる場合があります。重要なのは、「何もしていない状態」にしないことです。

出席が少ないことよりも、学校と連携し、学習の痕跡を残しているかが鍵になります。

不登校の中学生がテストを受けない場合の内申への影響

ここが、保護者の不安が最も強くなる部分ではないでしょうか。
卒業よりも、「内申がどうなるのか」が気になって眠れなくなる方も少なくありません。
テストを受けていない状態が続くと、将来の選択肢が閉ざされるのではと感じてしまいます。

ですが、まずは評価の仕組みを落ち着いて整理することが大切です。成績はどのように決まるのかを確認していきましょう。

成績評価の仕組み

中学校の成績は、定期テストの点数だけで決まるわけではありません。
現在は「観点別評価」という仕組みで評価されています。

主な観点は三つです。
「知識・技能」
「思考・判断・表現」
「主体的に学習に取り組む態度」です。

定期テストは主に「知識・技能」の評価材料になります。
しかし、提出物やレポート、授業での発言、課題への取り組み状況なども評価対象です。

つまり、テストを受けていない場合でも、他の評価材料があれば評定が付く可能性はあります。一方で、評価材料が極端に不足すると、「評定を付けにくい状態」になることもあります。ここで出てくるのが「未評価」という扱いです。では、この未評価とはどのような状態を指すのでしょうか。

「未評価」とは?

「未評価」とは、テストを受けなかったことを理由に0点になる、という意味ではありません。
評価するための材料が不足し、評定を付けられない状態を指します。成績は、観点ごとに総合判断で決まります。
そのため、テストも提出物もなく、学習状況の記録が残っていない場合、学校側が評価できない状況が生まれます。

これが「未評価」です。

未評価は0点とは異なります。
しかし、高校側から見ると「評価不能」という扱いになります。
理由が説明できない場合、不利に働く可能性があります。

一方で、医療的理由や心理的要因があり、その経緯が学校と共有されていれば、印象は大きく変わります。重要なのは、未評価を避けることよりも、「なぜその状態なのか」を説明できることです。

では、出席扱いや代替評価が認められるケースには、どのようなものがあるのでしょうか。

出席扱いになるケース

文部科学省は、不登校児童生徒への柔軟な対応を各学校に求めています。
一定の条件を満たせば、学校外での学習が「出席扱い」になる場合があります。

代表的なものは次のようなケースです。

区分内容ポイント
教育支援センター適応指導教室等への通所学校との連携が前提
フリースクール民間施設での継続学習学習記録の提出が重要
ICT活用学習オンライン教材や遠隔授業学校が学習状況を把握
医療的配慮医師の診断に基づく対応医療的根拠の共有

根拠となる通知は以下です。
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1384666.htm

重要なのは「学校と連携しているか」です。
保護者だけで完結している学習は、出席扱いにならないことがあります。

つまり、
学びを止めないことと同時に、学校と情報を共有し続けることが評価につながります。

学校ごとの差

同じ公立中学校でも、運用は一律ではありません。評価の付け方や未評価の扱いには、一定の裁量があります。別室受験に積極的な学校もあります。代替課題で評価を付ける学校もあります。一方で、形式を重視する学校も存在します。つまり、制度は同じでも、現場の判断で結果は変わります

ここで大切なのは、「学校は敵ではない」という視点です。

早い段階で状況を共有しているか。
学習の痕跡を残しているか。
配慮を相談しているか。

この積み重ねが、評価の扱いを左右します。

不安を抱えたまま黙っていると、学校側も判断材料が不足します。だからこそ、内申や評価は“交渉可能な領域”だと知ることが重要です。

次に、その評価が高校受験でどのように扱われるのかを整理します。

不登校でテストを受けないと高校受験に不利?

「受験はもう難しいのでは」と感じてしまうかもしれません。ですが、高校受験は一枚岩ではありません。
評価軸が学校種別ごとに異なります。
仕組みを分解すると、取れる戦略が見えてきます。

公立高校の場合の現実

公立高校は、内申点を一定割合で重視します。
都道府県ごとに比率は異なります。多くは、
「内申点+当日点+面接」で合否が決まります。

そのため、未評価や低評定は不利になる可能性があります。これは事実です。しかし、公立にも違いがあります。

種類特徴戦略
一般選抜重視校内申比率が高い評価維持が重要
特色選抜校面接や作文重視経緯説明が鍵
配慮実績校不登校理解がある早期相談

重要なのは、
「公立=全滅」ではないという点です。

情報収集と事前相談で可能性は変わります。

私立高校の場合

私立高校は公立より柔軟な傾向があります。
学校ごとに基準が大きく異なります。

推薦型では内申基準があります。ただし、基準に届かなくても個別相談で判断される場合があります。

一般入試では当日点重視の学校もあります。
内申の影響が小さい学校も存在します。

ここで重要なのは、
事情を説明する機会」があるという点です。

説明材料を持っているかどうか。
これが分かれ道になります。

通信制高校の選択肢

通信制高校は、不登校経験のある生徒が多い環境です。そのため、出席日数や内申のみで合否を判断する仕組みではありません。

多くの学校では、
調査書に加えて面接や作文を重視します。
現在の意欲や将来への意思が評価対象になります。

未評価や出席日数の少なさがあっても、それだけで進学が閉ざされるケースは一般的ではありません。
ただし、学校ごとの基準は異なります。

近年は大学進学実績を持つ通信制も増えています。
通学型コースや専門特化コースも広がっています。

特に、今は回復を優先したいお子さんにとって、
通学頻度を調整できる環境は安心材料になります。

通信制は“最後の選択肢”ではありません
状態に合わせて学び方を選べる一つの進路です。

受験を一本道にしないこと。
それが不安を軽くする視点になります。

進路は一本道ではない

事例1|戦略を変えた母

中学3年の4月。
年間予定表に「第1回定期テスト」と書かれていました。

娘は中2の冬から不登校。
家では勉強している。
けれど学校から見れば「未受験」です。

母の頭に浮かんだのは、
内申はどうなるのか。
公立は無理ではないか。
将来が閉ざされるのではないか。

焦って問いかけると、
娘は「無理」とだけ答えました。

母が選んだのは、結論を急ぐことではありませんでした。
まず、事実を確認しました。

未受験の評定はどう扱われるのか。
提出物は評価対象になるのか。
別日受験は可能なのか。

返答は「5は難しいが、1確定ではない」。

この一言で、
“終わり”ではなく“選択肢がある”と分かりました。

そこで、公立一本から私立単願へ戦略転換
夏の個別相談で経緯を説明しました。

結果、私立高校に合格。

事例2|変化に対応する力を育てる選択

別のご家庭では、中3の春の時点で視点が少し違いました。

不登校はきっかけに過ぎない。
これからの時代に必要なのは、
変化に対応できる力ではないか。

そう考えたのです。

テストを受けるかどうかではなく、
「どんな環境で学ぶか」に視点を移しました。

母は学校説明会や個別相談を重ねました。
そこで見えてきたのが、通信制高校の学びの幅でした。

オンラインと対面の併用。
探究活動や実践型プログラム。
自分で考え、動き、発信する機会がある環境。

それは、従来型の受験競争とは異なる学び方でした。

最終的に選んだのは、
通学頻度を調整しながら、
プロジェクト型学習に力を入れる通信制高校です。

入学後、息子は動画制作やイベント企画に挑戦。
活動の中で、段取り、発信力、対話力を身につけました。
実社会で求められる力を、体験から吸収しています。

「やらされる勉強」から、
「自分で進める学び」へ。

母は当時を振り返り、こう言いました。

変化の時代を生き抜く力が育って欲しいなって思っていました

不登校の中学生を持つ保護者が今すぐできる具体行動3選

不安は、考えているだけでは消えません。
しかし、やるべきことは意外と多くありません。
まずは、現実的に動ける三つから始めましょう。

①学校に確認する

最初に行うべきは「事実確認」です。
想像で最悪を決めつけないことが重要です。

具体的に確認したいのは、次の三点です。

  • 未受験の場合の評定の扱い
  • 提出物や家庭学習の評価対象の有無
  • 別日受験や代替評価の可能性

「どうなりますか」ではなく、
どのような条件なら評価されますか」と聞くと、
具体的な答えが返りやすくなります。

学校は敵ではありません。
判断材料を共有することが、
選択肢を広げる第一歩になります。

②進路を複線で考える

進路を一本に絞ると、不安は大きくなります。
公立のみを前提にすると、
内申への不安が過剰に膨らみます。

私立高校には、当日点重視の学校もあります。
通信制高校には、実践型学習を重視する学校もあります。

進路は「戻す」ことではありません。
今の状態に合った環境を選ぶことです。

複数の可能性を持つだけで、
家庭内の緊張は和らぎます。

③学びを止めない環境を探す

最も大切なのは、学びを完全に止めないことです。

形は問いません。
オンライン教材でも、探究活動でも、
プロジェクト型学習でも構いません。

重要なのは、
「自分で考え、動く機会」があるかどうかです。

テストを受けていないことよりも、
学びが止まっていることのほうがリスクになります。

小さくても構いません。
今日できる一歩を積み重ねること。
それが将来の選択肢を守ります。

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