「遠足やってみようかな」不登校の子どもが企画した遠足 ― 知立市で生まれた主体的な学び

2025年9月、知立市教育委員会とNIJINアカデミーの連携により、市内の不登校の小中学生に向けた新しい学びの取り組みがスタートしました。

それが、NIJINアカデミーの「メタバース校舎」を活用した学びの場です。

全国の自治体と同様に、知立市でも不登校の児童生徒数は近年増加傾向にあります。知立市教育委員会では、一人ひとりの状況に応じた居場所づくりや、多様な学びの選択肢を広げる取り組みを進めてきました。

しかしその中には、学校だけでなく教育支援センターなどにも通うことが難しい子どもたちもいます。

今回の取り組みは、そうした子どもたちが家からでも人とつながり、学びに参加できる環境をつくる新しいモデルとして始まりました。

メタバース空間の中では、授業に参加したり、仲間と会話をしたり、自分の好きなことを発信したりと、子どもたちがそれぞれのペースで活動しています。

そして、そんな日常の中から、子ども自身の「やってみたい」が生まれています。

目次

学校とつながりにくい子どもたちへ、地域としてできること

不登校の子どもたちの中には、学校だけでなく、人とのつながりそのものが希薄になってしまっている子もいます。

知立市が大切にしているのは、「学校に戻すこと」だけではありません。

まずは、安心して人と関われるきっかけをつくること。
そして、小さな一歩でも「やってみたい」を形にできる経験をつくることです。

その一歩を、地域として支えたい。そんな想いの中で、子どもたちの主体的な活動が生まれています。

小さなまちだからこそ、広がる挑戦

知立市は、小学校7校・中学校3校の小さなまちです。顔が見える距離感は安心でもありますが、一方で「自分らしさを出しにくい」と感じる子どももいます。だからこそ、まちの枠を越えて全国の多様な子どもたちとつながる機会を大切にしています。

メタバース校舎では、

・趣味の演奏を披露する子
・得意なことを発信する子
・企画を立てる子

など、さまざまな挑戦が生まれています。そしてある日、知立市の子どもがこんなことを言いました。

学校で遠足があったから、自分でも遠足をやってみようかな。

その一言から、本当に遠足の企画が始まりました。

子どもが企画した遠足

遠足を企画したのは、知立市の小学生のひかりん。最初は、楽しみな気持ちと同時に、不安もありました。

不安と楽しみの気持ちがあった。

人が来てくれるかな。
ちゃんとできるかな。

そんな気持ちを抱えながらも、遠足の計画を少しずつ考えていきました。

どこに行くか。
どんな順番で回るか。

自分で考え、オリジナルのしおりも作成し、遠足の準備を進めていきました。

みんなで過ごした遠足の一日

当日、子どもたちは集まり、遠足がスタートしました。

一緒にお弁当を食べて、
シール交換をして、
アトラクションでは思いきり絶叫。

普段はメタバースで会っている仲間と、リアルで笑い合う時間。遠足の中で印象に残ったことを聞くと、こんな答えが返ってきました。

印象に残ったことベスト3

  1. フネ
  2. メリーゴーランド

「たのしかったなー。」

そう言いながら話してくれた姿から、その一日がどれだけ特別だったかが伝わってきました。

子どもの一言

遠足が終わったあと、ひかりんはこう話してくれました。

また遠足やりたい!

その一言には、
「やってみたらできた」という実感が込められているようでした。

「やってみたい」が、子どもを動かす

今回の遠足は、大きなイベントではありません。

しかし

・自分で企画する
・人を誘う
・当日を迎える

という経験は、子どもにとって大きな挑戦でした。誰かに用意された体験ではなく、自分で生み出した体験だからこそ、そこには主体性が生まれます。

知立市では、こうした子どもたちの「やってみたい」を、行政・教育・社会が連携して支えています。人とつながりながら、自分で選び、動く経験を重ねていくこと。その積み重ねが、子ども自身が人生の主体になっていく土台になると考えています。

学校に戻ることだけがゴールではありません。

子どもたちが人とつながり、自分の「やってみたい」を形にしていくこと。その一歩を、地域で支える取り組みが、知立市で広がっています。

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