「今日は学校に行きたくない。」
子どもからそう言われたとき、多くの保護者は驚きや戸惑いを感じます。
「休ませてしまっていいの?」
「甘やかしてしまうことにならない?」
「無理にでも行かせた方がいいのでは?」
「このまま不登校になってしまったらどうしよう。」
インターネットにはさまざまな情報がありますが、正反対のことが書かれていることも少なくありません。
この記事では、子どもが初めて「学校に行きたくない」と言った日に、保護者が知っておきたいことを、文部科学省や小児科・心理学の知見を踏まえながら整理します。
なお、この記事は「学校に行く」か「行かない」かの二択ではなく、子どもの安心を土台に、その子に合った選択を考えるためのガイドとしてお読みください。
「学校に行きたくない」は珍しいことではありません
まず知っておきたいのは、「学校に行きたくない」と感じること自体は、多くの子どもに起こるということです。
文部科学省の調査では、不登校児童生徒数は年々増加していることが判明しています。令和6年度には、小・中学校の不登校児童生徒数は約35万4千人、高等学校では約6万8千人となり、いずれも過去最多となりました。これは学校に対して「行きづらさ」を抱える子どもが決して少数ではないことを示しています。
「学校に行きたくない」と聞くと、「何か大きな出来事があったのでは」と考えがちです。しかし、実際には一つの理由だけで説明できるケースばかりではありません。
例えば、友達とのトラブルや学習面の不安のように明確な理由がある場合もあれば、毎日の小さなストレスが積み重なった結果、「もう学校に向かう力が残っていない」という状態になってしまうこともあります。
また、子ども自身が理由を整理できていないこともあります。「何が嫌なの?」と聞かれても、「分からない」「全部嫌」としか答えられないのは決して珍しいことではありません。
一方で、その言葉が長く続く場合には、子どもからの大切なサインである可能性もあります。
大切なのは、その日のうちに原因を突き止めようとすることではなく、「この子は何を感じているのだろう」と受け止める姿勢です。

まずは「理由」よりも「共感」を
多くの保護者は最初にこう聞きます。
「なんで?」
「何があったの?」
もちろん悪いことではありません。
しかし、子ども自身も理由を整理できていないことがあります。
例えば、
- なんとなく苦しい
- 学校へ向かうとお腹が痛くなる
- 先生は嫌いじゃない
- 友達とも普通
- でも行けない
というケースは珍しくありません。
心理学でも、子どもはストレスを身体症状として表現することがあるとされています。
そのため、
「何があったの?」
よりも、
「教えてくれてありがとう。」
「今日はつらいんだね。」
という言葉の方が、子どもは安心しやすくなります。

無理に登校させるべき?
保護者が一番悩むところでしょう。
結論から言えば、
子どもの状態によります。
例えば、
- 発熱がある
- 強い腹痛がある
- パニック状態
- 激しく泣いている
- 過呼吸になる
このような状態で無理に登校させることはおすすめできません。
一方で、
「眠いだけ」
「テストが嫌」
「今日は体育があるから嫌」
というケースでは、その日の様子を見ながら登校できる場合もあります。
重要なのは、
「学校へ行く・行かない」だけで判断するのではなく、子どもの心身の状態を見ることです。
「休ませる=甘やかし」ではありません
保護者が最も不安になるポイントの一つです。
しかし現在は、
「休息が必要な状態では、安心して休める環境を整えること」
は決して甘やかしとは考えられていません。
文部科学省も、不登校への支援では「学校復帰のみを目標にしない」という考え方を示しています。
休むことによって、
- 心が落ち着く
- 家族との関係がよくなる
- 次の一歩を考えられる
というケースもあります。
もちろん、何か月も家にいることが必ずしもよいという意味ではありません。
ただ、「今日は休もう」という選択が、その子らしい将来につながることも十分にあります。

休ませるときに気を付けたい3つのこと
「今日は休もう」と決めたあとも、保護者は「このままでいいのかな」と不安になるものです。そんなときは、次の3つを意識してみてください。
(1)その日のうちに将来の話をしすぎない
「このまま高校に行けなくなったらどうするの?」「明日は行けるよね?」と将来の話をしたくなる気持ちは自然です。
しかし、子どもは「今日学校に行けなかった」という事実だけで精一杯になっていることがあります。まずは目の前の安心を優先し、進路や今後のことは落ち着いてから話し合う方が、お互いに冷静になりやすいでしょう。
(2)生活リズムは少しずつ整える
休み始めの時期は、無理に普段どおりの生活を求める必要はありません。
一方で、昼夜逆転が長く続くと体調や気分にも影響しやすくなるため、朝はカーテンを開ける、一緒に朝食を食べるなど、小さな習慣から整えていくことが大切です。
(3)「安心できる家」であることを伝える
「学校へ行かないなら家でも厳しくしなきゃ」と考える保護者もいます。しかし、子どもにとって家まで安心できない場所になってしまうと、さらに孤立感が強まることがあります。
もちろんルールは必要ですが、「あなたの味方でいるよ」というメッセージが伝わることは、それ以上に大きな支えになります。
朝に言い争いになってしまったら
朝は時間との勝負です。
つい、
「いい加減にして!」
「みんな行ってるよ!」
と言いたくなることもあります。
でも、朝の言い争いは、親子ともに疲弊してしまいます。
そんなときは、
「今は答えを出さなくていい。」
「少し時間を置こう。」
という選択をとる勇気も重要です。
子どもの気持ちは、落ち着いてからの方が話しやすいことも多いのです。
保護者がすべき声かけは?
言葉一つで状況が大きく変わるわけではありませんが、子どもにとって「安心できる大人がいる」と感じられることは大切です。
例えば、
「教えてくれてありがとう」
学校へ行きたくないことを打ち明けるのは、子どもにとって勇気がいることです。まずは話してくれたこと自体を受け止めましょう。
「今日はどうしたい?」
「行く・行かない」を決めるためではなく、子どもの気持ちを知るための質問です。
「話したくなったらいつでも聞くよ」
無理に話させようとしなくても、「話せる場所がある」と感じられることが安心につながります。
一方で、
- 「みんな頑張ってるよ」
- 「甘えてるだけじゃない?」
- 「そんなことで休むの?」
- 「親だって大変なんだから」
といった言葉は、子どもが「分かってもらえない」と感じるきっかけになることがあります。
保護者も余裕がない朝には難しいものですが、完璧な声かけを目指す必要はありません。うまく言えなかった日は、「さっきはきつく言ってごめんね」と伝えることも、親子関係を築く大切なコミュニケーションです。
休んだ日の過ごし方
休ませると、
「ゲームばかりしている。」
という悩みもよく聞きます。
ゲームだけが目的に見えても、
実際には
- 現実から距離を置きたい
- 安心できる時間がほしい
- 人とのつながりを感じたい
という背景がある場合もあります。
もちろん昼夜逆転や生活リズムの乱れには注意が必要ですが、
初日は「ゲームを取り上げること」よりも、
安心できる時間をつくることが優先になる場合があります。
学校への連絡はどうする?
学校へは、
「体調不良のため休みます」
でも問題ありません。
無理に詳しい事情を説明する必要はありません。
落ち着いてから、
担任や養護教諭など信頼できる先生と相談する方法もあります。
近年では、
学校だけでなく、
教育支援センターやフリースクール、オンラインで学べる場など、さまざまな選択肢があります。
ひとりで抱え込まないために
「育て方が悪かったのかな。」「親として何とかしなければ」。
そう思ってしまう保護者は少なくありません。
しかし、不登校は一つの原因だけで起こるものではなく、
学校環境、友人関係、発達特性、体調、家庭環境、本人の性格など、さまざまな要因が重なり合うことが多いと考えられています。
「親が悪い」と単純に言えるものではありません。
むしろ、保護者が一人で抱え込んでしまうことで、親子ともに苦しくなることがあります。
学校の担任や養護教諭、スクールカウンセラー、教育支援センターなど、相談できる場所は複数あります。また、同じ経験をした保護者の話を聞くことで、「自分だけではなかった」と気持ちが軽くなることもあります。
信頼できる人や支援機関に相談することも、大切な選択肢です。

「学校に戻る」が唯一のゴールではない
以前は、「できるだけ早く学校へ戻すこと」が支援の中心と考えられる時代もありました。
しかし近年は、考え方が変わってきています。
文部科学省も、子どもの社会的自立を目指し、一人ひとりの状況に応じた支援の重要性を示しています。
つまり、
学校へ戻ることだけが成功ではありません。
安心できる場所で学び続けること。
人とのつながりを持ち続けること。
自分らしく成長していくこと。
その過程の中で学校へ戻る子もいれば、別の学び方を選ぶ子もいます。
どちらも、その子にとって意味のある選択になり得ます。
フリースクールを調べていても、実際の雰囲気が分からず判断に迷う保護者の方は多くいます。
NIJINアカデミーでは、教室に足を運ばなくても学びの様子を体感できるメタバース体験説明会を
平日毎日実施しています。
顔出し・声出しは強制されないため、お子様と一緒に気軽に参加できます。
よくある質問
最後に
子どもが「学校に行きたくない」と言った日は、保護者にとっても忘れられない一日になるかもしれません。
だからこそ、その日にすべての答えを出そうとしなくても大丈夫です。
大切なのは、「どうすれば学校へ行かせられるか」だけを考えるのではなく、「この子が安心して過ごせるには何が必要だろう」という視点を持つことです。
子どもは、安心できる大人の存在があって初めて、自分の気持ちを少しずつ言葉にできるようになります。
そして保護者も、一人で抱え込む必要はありません。
親子だけで解決しようとせず、学校や地域の支援機関、同じ経験を持つ保護者などともつながりながら一歩ずつ進んでいけば、きっと自分らしく生きられる場所にたどりつけるはずです。

